musical hearts 1

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1. 3本の指 2000/11/15
第1回なので、私の3本の指アーティストについてコメントしたいと思います。本当は10本の指ぐらい書きたいのですが、今の私では、10本には絞れません。せめて両手両足・・・。

▼Simon & Garfunkel 〜 佳人薄命

 S&Gは、私の人生のヘビーローテイト、初めて買ったCDにして、コンポの中で一番よく回るCDはS&Gのベスト盤なのです。青春時代(笑)洋楽が好きになったのは彼らの影響で、「ガイジンって歌うめぇ」と思わせてくれたのは、他にカーペンターズ、マライア・キャリーなどなど、なのですが、S&Gほど、今になって繰り返し聴くアーティストは居ないのです。S&Gの曲は、美しくも儚く、繊細で横暴、明るく陰気。ポールサイモンは、デュランをネタにいじめっ子っぷりを見せながらも、9月になれば彼女は死んでしまうと怯えて秋風が身にしみてしまう寂しがり屋さん(でもその歌を自分で歌わずに、パートナーに歌わせてしまう恥ずかしがり屋さん)。だから、スカボローフェア、コンドルは飛んで行くなど、トラッドなんかにも手を出してみたりして。これは全て、ポールの奇才?鬼才?っぷりなのです。ポールの悪戯好きな性格をある程度抑止していたのが、アートだったのかも。きっと、この二人は正反対の性格で、それ故に、曲は繊細でありながらも歌詞は重かったり、とか、したのでしょうか。お互い、ソロ活動の方が、ユニット組んでいた時よりも活動期間が長いんですよね。まぁ、早々に解散してしまったのですから、当たり前といえば当たり前なんですが、相反する性格の持ち主をパートナーにしたら、そりゃ長続きはしないでしょう。しかし、そのおかげで、美しくも儚い名曲の数々が生まれたのだと思っています。佳人薄命とは、よく言ったものです(笑)。

 彼らの知名度は高いので、おそらく誰もが、彼らの曲を何かしらひとつ知っていると思います。でも、彼らのことを少ししか知らない人は、メロディやハーモニー、ギターワークの美しさしか見えていない人が多いのではないでしょうか。きっと、英語の歌詞を追求していくと、良い意味で失望させられると思いますよ。あ、でも、有名な曲って、そうでもないんだよな・・・。

▼いしのだなつよ 〜 絵画と音楽

 私は時々、音楽を2つに分類します。Portrait系とLandscape系。人物の絵と風景の絵。言葉ではちょっと表現しづらいんですが、分かってもらえるでしょうか。私は、絵心のある人間ではないので、絵画の鑑賞に行ったとすると、へ〜、絵ぇうまいなぁ、とうなずくばかりで、○○の色使いが・・・とか、そいう話は全くできません。しかし、その絵が肖像画なのか風景画なのか、それぐらいだったら見分けはつきます。いくらなんでも、そりゃ〜ね。

 さて、本題に戻ると、Portrait系とはどんな音楽か。それは、とにかく人間臭いのがPortrait系です。ラヴソングが良い例かな。私は貴方が好きよ♪〜幸せなの♪とか、今はもう君の事は忘れて〜とか、もう人間臭くてたまらないでしょ? それから、僕らはみんな生きている〜とか、強いぞガメラ〜とか、大勢の人が決起してるようなのも、人間臭いじゃないですか。それに比べてLandscape系は、人の心が表面に出てこない、風景の音楽なんです。川のせせらぎ木々のざわめき〜とか、誰もいない始発電車〜とか。歌詞が無いものはLandscape系が多いですね。そして私は、どちらかというとLandscape系の曲を好んでいました。いしのだなつよを聴くまでは。彼女の曲は、なんて人間臭いんでしょう!! しかし、度が過ぎると麻痺していまうのか、あまりにも心に「直に」響く歌詞の数々に、私はすっかり、いしのだなつよPortrait系のトリコとなってしまったのです。夢だの愛だの希望だの、彼女に歌わせたらみんな美しく聞こえてしまいます。そんな彼女が、現代社会を辛辣に描いてしまうと、心にグサグサ来てしまうのです。どうしてこんなに、心に響くのか。アコギ1本という無防備さと、攻撃力のある彼女の歌声に、心を裸にさせられてしまうのでしょう。彼女のPortraitは、私の心に焼き付いてしまいました。本当にたくさん勇気をもらいました、ありがとうなっちゃん。


▼アディエマス 〜 無国籍民族

 自分はいったい、どのジャンルが好みなのか、どんなジャンルの曲が私に当てはまるのか、それが分からず、探しまわっていました。その探索の終着点が、ここだったのです。初めて聴いたとき、これこそが私の理想とする音楽だ、これ以上望むものは無い、と思いました。オーケストラに混ざって、何語かも分からない不思議な歌声が聞こえてきて、クラシック曲に似たメロディ展開の上に、美しい多重コーラスが乗っていて、これ以上の曲は、地球上では作れないんじゃないかと思わせる程でした。民族音楽のような歌声もソウルフルで心に残ります。民族音楽って、歌詞なんて無くても人の心が伝わってくるような感触がしますよね。でも、どの民族にもあてはまらないような、ただ、どこかの民族の曲なんだろう、と想像するしかない音楽でした。

 最近、癒し系・ヒーリング系なんて言葉が流行ってますが、この言葉、あまり好きにはなれません。ヒーリング系っていうと、あまりにも意味が広いような気がするのですが・・・。ま、そういうジャンルがあったとして、癒されるとはどういうことか? ただ単に、気持ちが落ち着くだけでは、癒しではないと思うのです。それにプラスして、まっさらな状態から、前に向かって進み始めるきっかけが必要なことを教えてくれるものが、癒しだと思うのです。落ち着きまくって無気力になってはいかんのです。アディエマスはよく癒し系に区分けされていますが、真の癒し系ことアディエマスは、躍動的な曲でそれに気づかせてくれます。さらに無国籍なので、これからどこにトリップしようとも、自由なのです。すばらしい!


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