musical hearts 24
| 24. 易しい音楽 2002/09/22 | |
CDレビューの方が滞っているので、代わりにコラムを書いて紛らわします。(^^;
子供の頃、家族で歌番組を見ていると、オヤジが「この歌は難しいから・・・」云々としばしば口にしていました。その頃、自分には「難しい歌」が何なのか、さっぱり見当も付かなかったのです。今でも覚えているのが、森口博子が歌っているのを見ていたとき、「バラエティ番組やってるけど、歌おうと思えばこういう難しい歌も歌えるんだから」とか言っていました。オヤジの言っていた「難しい歌」って、一体どんな歌なんだろう?と、ちょっと前に考えてみました。恐らく、歌い辛いと「難しい」になるのではないでしょうか。歌い辛い歌を歌える、ということを、オヤジは評価していたのです。
もう十数年前ですが、カラオケが流行して、憧れのアーティストと同じ歌を歌えることに快感を覚えた人も少なからず居ます。しかし、カラオケで歌えるのは、その歌を知ってさえすれば誰でも歌えるような、易しい音楽のはずです。となると、難しい歌を歌うアーティストは、カラオケでは敬遠されがちになりそうな気がしますよね。
カラオケがこのまま流行していたら、日本の音楽業界はダメになる、というテレビ番組を見たことがあります。今でも、カラオケ屋さんはそれなりに客を集めているし、文化として定着したように思われますが、さて今の音楽業界は、ダメになっているでしょうか?
どうしてダメになるのか、というのは、易しい音楽の蔓延が音楽の低レベル化を招くのではないか、という危惧から生まれた考えです。確かに、最近はラップやダンスミュージックがもてはやされていて、普通の人でも真似ができたり、みんなで参加したりという大衆性の強い音楽が人気のようです。しかし、これって最近始まったことなのでしょうか?
僕は、いつも流行しているものは、易しい方の部類に入るのだと思います。流行を追ったり、商業主義的な売り方をするのであれば、音楽の分かりやすさがどこかしらに必要だと思うのです。ダメになった、なってないの問題ではなく、現在の音楽というものは、常に大衆性と個性とのバランスで成り立っているものなのです。最近の流行からすると、大衆性を重んじた傾向にあるようですが、一方で技術的な面を強く見せるアーティストも存在しますし、インターネットの普及で、流行にとらわれず独自の音楽を磨き上げ、それを世に出す事も容易になった時代ですから、音楽的な技術が衰退していくとは思えないのです。